Tuesday, November 1, 2011

拾ったiPhoneは売るな

米カリフォルニア州で3月、アップルの男性技術者が、開発中の次世代(第4世代)「iPhone(アイフォーン)」の試作機を紛失するという騒ぎがあった。試作機は後日、IT関連ニュースを扱うブログ「GIZMODO(ギズモード)」に持ち込まれて写真付きで掲載され、アップルの極秘情報が発売前に暴露される事態に発展。警察当局も強制捜査に乗り出した。騒動が大きくなった発端は、「拾った」とされるアイフォーンでひともうけしてやろうという一人の青年の「出来心」だった。iphone 5(大内清)
【海外事件簿】拾ったiPhoneは売るな
バーで紛失


AP通信などが伝えた裁判所の開示書類などによると、ソフトウエア開発を担当していた男性技術者が次世代アイフォーンの試作機をなくしたのは3月25日(ギズモードの記事では18日)、勤務するアップル本社のあるシリコンバレーのバーで酒を飲んでいたときのことだった。試作機を持ち歩いていたのは、日常生活での使い心地を試すためだった。

男性が置き忘れた試作機を入手したのは、近くの席に座っていたブライアン・ホーガン氏(21)。ケースが付けられ現行モデルにカムフラージュされていたが、自宅に持ち帰ってケースをはずしてみると、市販されていないモデルが姿をあらわしたという。

その後、ホーガン氏は友人とともに複数の雑誌やサイトに買い取りを持ちかけ、それに応じたのがギズモードだった。ギズモードの編集者は現金で5千ドル(約45万円)を支払った上で、アップルが6月までにこの試作機の仕様に沿った新型アイフォーンを実際に発表すれば、さらに3500ドルを支払うと約束した。
ギズモードから本物かどうかの確認を求められたアップルは、試作機の回収に乗り出す。同社の最高経営責任者(CEO)、 iphone スティーブ・ジョブズ氏も自らギズモードに連絡を取り、返却を要請した。

これに対してギズモード側は「すぐに返却したいのはやまやま」としながらも、試作機を入手した経緯などをサイトに掲載したいとした上で、「(返却するには)アップルから自社製品だとの確認が必要だ」などと要求。アップル側は、試作機がアップルの「所有物」であることを認める書類を送付したという。

ところが、ギズモードはジョブズ氏からの連絡があった直後の4月20日、試作機を分解した写真などを掲載。結局、アップルが極秘で開発を進めていた次世代アイフォーンの存在は、その形状や機能とともに明らかになってしまったのだ。

「(次世代アイフォーンの開発が進んでいるとの情報が広まることで)現行のアップル製品を購入するつもりだった消費者が買い控える。アップルの売り上げに大きな影響がある」

危機感を強めたアップル側は同日、地元警察と接触し、こう訴えた。見込まれる損失は明かされなかったものの、アップル側と面会した当局者は、その額が「巨大」なものになるだろうとの説明を受けたという。

犯罪性が高いと判断した警察は本格的な捜査に着手。器物損壊や盗品譲り受けなどの容疑で、試作機を買い取ったギズモード編集者の自宅などの家宅捜索に踏み切った。
一方、試作機を売り飛ばしたホーガン氏は、落ち着かない日々を過ごしていた。

ホーガン氏は当初、「試作機の持ち主のキャリアがめちゃくちゃになる。すぐに返すべきだ」と助言するルームメートに対し、「くそ食らえだ。落としたそいつが悪いんだ」と取り合わず、5千ドルを手に入れた後は、札束を見せびらかすこともあったという。

しかし、20日に試作機の詳細がギズモードに掲載されると、不安に駆られ始めたようだ。翌日には、それまで住んでいたアパートから引っ越そうと、荷物を運び出し始めた。ルームメートからの連絡を受けた警察は、ホーガン氏が父親の自宅にいるのを発見。事件の証拠となる可能性が高いパソコンなどは近くの教会から見つかった。

一連の経緯についてホーガン氏の弁護士は「証拠隠滅の意図はなかった」と弁明。「(ホーガン氏は)偶然、高価なものに遭遇して幸運だと思ってしまった。(試作機を)返さなかったことを後悔している」とした上で、本人にはギズモードとの取引が違法であるとの認識はなかったと説明している。

相次ぐ情報漏洩(ろうえい)

【海外事件簿】拾ったiPhoneは売るな
次世代アイフォーンをめぐっては、5月にもベトナムの携帯電話ショップに別の試作機が持ち込まれ、その映像がネット上に流出するなど、秘密保持の徹底ぶりで知られるアップルとしては異例の情報漏洩が相次いでいる。 ipad 結果的には、正式な発表前からファンの関心を高めることに一役買ったともいえるが、デザインが模倣されるなどの被害が出る恐れもある。

今回の事件では、「ブログメディア」と呼ばれる一種の報道機関であるギズモードに対し、その情報入手方法を問題視する声が高まっているほか、試作機の売買にかかわった編集者やホーガン氏の立件や巨額賠償請求訴訟につながる可能性もある。

他人のものを安易に売り買いしてはいけない-。こんな当たり前のことが事件の最大の教訓かもしれない。

No comments:

Post a Comment